民事信託、個人信託、家族信託とは何でしょうか。
信託の分類等についてご理解ください。
「信託」(trust)
信頼して委託すること。他人をして、一定の目的に従い財産の管理・処分をさせるため、その者に財産権を移すこと(広辞苑)
つまり本質的には、「財産を預ける」ことを意味する単純で理解しやすいものです。
1 新信託法の施行
新しい信託法は、平成18年12月8日に平成18年12月8日に国会で成立し、平成19年9月30日に施行されました(自己信託は平成20年9月30日から施行)。
大正11年に制定された旧信託法は、実に84年ぶりに全面改正されたことになり、信託が相続対策や事業承継対策に活用できるようになりました。
しかし新信託法の施行から4年が経過しているのに、世の中ではあまり信託が浸透していないのが現状です。これは「信託」とは難しいもので、自分には関係がないという印象が一般に浸透しており、「信託」が事業継承等の財産管理や承継に非常に有効で
あるということがあまり伝えられていないためではないかと思われます。
2 信託の領域・分野
一般に、「信託」といいますと、信託銀行や投資信託などをイメージされる方も多いかもしれません、これらは信託会社に報酬を払って行う≪営利信託≫を指し、一般的に“遺言信託”や“投資信託”などが知られています。
ここでいう信託の概念は、
- 本人の“想い”を法律的な形にし
- 財産管理と資産承継について新信託法を用いて、
- 自分の愛する家族の生活を守るために、信託という制度を利用し、
- 中長期的な視点に立ち、安心して現在から未来に繋げる仕組み
と言えます。
これからご案内するのは、従来型の≪営利信託≫ではなく、“非営利”つまり“無報酬”を原則とする≪民事信託≫のスキームです。
3 個人信託、家族信託とは
≪民事信託≫の中でも、個人が自分の財産を特定の目的のために預ける仕組みを≪個人信託≫といい、個人信託の中でも、特に“高齢者や障害者のための財産管理”や”家族・親族に対する資産承継”の手法を、私たちは≪家族信託≫と呼んでい
ます。
もちろん、個々の家庭の事情・環境はそれぞれ異なりますが、「扶養、後見・管理、遺産分割、事業承継、社会貢献」を組み合わせ、財産の承継・移転と財産管理の二つの側面を同時に、そして確実に満たすスキームが求められているのではないでしょうか。