母名義の財産

土地:幹線道路沿いの600坪(自宅用100坪、工場用500坪)
建物:自宅、工場、事務所
預金その他

相談者の考え方

母は人工透析をしており、自力で歩くことは難しい。
夫とは20年前に離婚しており、娘たちとはそれ以来会っていないし、どこに住んでいるかも知らない。
長女は弁護士をしていると聞いている。私(相談者)が母から相続した財産は娘に相続権があるが、障がいを
持つ弟のために使いたいと思っている。
私の判断能力低下や死亡の場合は、弟の面倒は信頼できる従弟に頼みたいと思っている。
最終的には母名義の財産は、従弟に渡しても良いと考えている。

ふくし信託塾での意見

1)母に遺言を作成してもらう
 ①1/4を相談者 3/4を長男(弟)が相続
2)法定相続割合通りに相続(1/2相談者、1/2長男)
3)相談者に弟の財産管理権を与える
4)現金化して使い切る
5)相談者が弟の後見人になる・・・>弟のレベルは後見相当とは考えられない
6)相談者は遺言書を作成して、全てを弟に渡す

妹尾の考え方

1)母を委託者、相談者を受託者、母を受益者として受益者連続型家族信託契約を締結
2)信託期間は母、相談者および弟の死亡まで
3)相談者の判断能力低下後の第二受託者は従弟、第三受託者は従弟が指名する
4)信託財産元本帰属権利者は、信託契約終了時点での受託者
5)母の相続発生後、相談者は相続放棄をすることで、第二受益者は弟になる
6)第三受益者は従弟または従弟の子とする
7)信託の目的は「亡き父の残した財産を活用して、残された母や子供たちが安心して生活できるようにすること」
注)受益者連続型信託の最長信託期間は30年と定められている。
 信託開始後30年経過時点で、次期受益者として指定されているものが死亡するまで、信託契約を継続することが出来る。
 30年後に存命の可能性があるのは相談者と弟。この時点で受益者は弟であり、次期受益者を指定していなければ、弟が存命中に信託契約が終了してしまうことになることから、第三受益者を指定しておく必要がある。